原状回復はどこまでする必要がある?トラブル回避のための対策も
2025.01.17 更新
こんにちは!「快適」「安心」「豊か」な北ガスの賃貸住宅「EFUTE(エフュート)」を提供する北ガスライフロントの松森です。
賃貸住宅を退去する際の原状回復について、「どこまで修繕が必要なの?」「敷金は返ってくるの?」といった不安の声をよく耳にします。
今回は引越しを検討している方に向けて、原状回復の基本的な考え方から具体的な範囲、トラブル防止のポイントまでわかりやすく解説します。
目次
原状回復とは
原状回復というと「借りたときと同じ状態に戻すこと」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、すべてを元通りにする必要は基本的にありません。
普通の生活の中でついた傷や経年変化は、そのままでも問題にはならないので安心してください。
(ただし、原状回復に関し、賃貸借契約書に特別な条文がある場合はその解釈が適用される可能性がありますので、ご注意ください)
原状回復については、令和2年(2020年)4月に改正された民法第621条に基本的な考え方が記載されています。
民法第621条は、住宅の賃貸借契約に関連する内容が定められたものです。
条文によると「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う」と定められています。
ただし、この条文には重要なただし書きがあります。
それは「通常の使用および収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」という部分です。
つまり、普通に生活していて自然に生じた劣化や損耗は、入居者の負担対象外なのです。
なお、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「入居者の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超える使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
入居者とオーナーの間で発生しがちなトラブルを未然に防ぐための指針といえるでしょう。
原状回復はどこまで必要?
ここからは原状回復の範囲について、具体的な例を見ていきましょう。
家の場所ごとに、原状回復が入居者の負担にならないケースと負担になるケースをご紹介します。
壁(クロス)の場合
まずは、範囲も大きく目につきやすい壁(クロス)です。
通常の生活で発生する次のような損耗は、入居者の負担にはならないことが多いです。
- 日照による変色
- カレンダーや時計を掛けるための画びょうの穴
- エアコン設置のためのビス穴
- テレビや冷蔵庫の後ろの電気焼け
- 家具の設置跡
一方、以下のような場合は入居者の負担となることが多いです。
- タバコのヤニによる変色
- 落書きによる汚損
- 結露を放置したことによるカビや壁紙のはがれ
- ペットによる傷やにおい
- 壁に開けてしまった穴や深い傷
インテリアの一環で壁に絵や写真を飾ったり、飾り棚やフックをつけたりしたい場合は、賃貸住宅でも使えるネジやピンを活用すると安心です。
床材の場合
床は普段の生活でも負荷がかかりやすい場所である上に、不注意で物を落としてしまうことも多く、傷がつきやすい場所です。
とはいえ、次のような通常使用による損耗は、入居者負担にならないことが多いです。
- 日常生活による床材の色あせ
- 家具による軽度の凹み
- 通常の歩行による擦り傷
- 日照による変色
一方、以下のような場合は入居者の負担となることが多いです。
- 飲み物をこぼして放置したことによるシミ
- ペットによる傷
- 物を落として生じた大きな傷や凹み
- 引越し時の家具移動による深い傷
- フローリングの張り替えが必要な程度の傷
いろいろなツールを使うことが多いキッチンやダイニングでは、ツールを落として傷がつくというようなケースも多くなります。
そのため、マットやラグを敷いて床を保護するのがおすすめです。
水回りの場合
水回りは特に生活の中で汚れやすい場所で、日常的なメンテナンスが求められます。
ですが、次のような通常の使用による損耗は、入居者負担にならないことが多いです。
- 設備機器の経年劣化
- 通常使用による水栓の故障
- 排水管の自然な詰まり
- 正常な使用による浴室の水あか
一方で、以下のような場合は入居者の負担となることが多いです。
- 日常的な清掃を怠ったことによる著しい水あか
- 換気不足によるカビの発生
- 排水口のつまりを放置したことによる損傷
- 不適切な使用による設備の破損
水回りの設備は汚れやカビなどが発生することによって、衛生面にも影響が出ます。
原状回復のためだけでなく、日常的にメンテナンスを行うのが良いですね。
窓ガラスの場合
窓ガラスの管理については、窓ガラス自体のヒビや割れだけでなく、サッシや網戸も含まれます。
一般的に次のような通常使用による損耗は、入居者負担にならないことが多いです。
- 経年変化によるサッシの劣化
- 通常の使用による網戸の破れ
- 自然災害による破損
- 経年変化による気密性の低下
一方で、以下のような場合は入居者の負担となることが多いです。
- 誤って物をぶつけて割ってしまった場合
- 外からの飛び石などを放置して傷を広げてしまった場合
- 投げた物が当たって割れた場合
- 網戸を乱暴に開け閉めして破損させた場合
- 結露を放置してサッシ枠を腐食させた場合
断熱のために窓にシートやフィルムを貼ったり、サッシに断熱テープを貼ったりという加工を施す方もいるかもしれません。
断熱加工することは問題ありませんが、退去のときに原状回復が容易なものを選ぶと安心ですね。
なお、賃貸住宅の断熱については、次のコラムでも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
賃貸住宅は断熱性能も確認!構造別の違いや断熱性を高めるアイデアも
退去時に原状回復のトラブルを起こさないための対策
どんなにキレイに使っていても、気づかないうちに傷がついてしまったり、汚れてしまったりということはあるでしょう。
原状回復に関するトラブルを防ぐため、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
- 入居時の確認をしっかりとする
- 日々の掃除を怠らない
- 適切な設備利用を心がける
それぞれを詳しく見ていきましょう。
1. 入居時の確認をしっかりとする
原状回復に関するトラブルを防ぐために、まず重要なのが入居時の確認です。
入居時に既存の傷や汚れがある場合は、必ず写真を撮影し、日付も記録しておきましょう。
特に気をつけたいのは、壁の傷や汚れ、フローリングの傷、水回りの状態です。
これらを不動産会社や管理会社と共有しておくことで、退去時のトラブルを未然に防ぐことができます。
2. 日々の掃除を怠らない
日々の掃除やメンテナンスも原状回復にとって重要なポイントとなります。
特に水回りは、放置することで取れにくい水あかやカビが発生しやすいです。
こまめな換気と定期的な清掃を心がけましょう。
キッチンの換気扇やレンジフードは油汚れがつきやすい場所です。
定期的に掃除することで、退去時に大掛かりな清掃が必要なくなります。
また、結露対策も重要なポイントです。
放置すると壁紙にカビが発生したり、クロスがはがれたりする原因となります。
こまめな換気と、結露が発生した際の拭き取りを習慣づけましょう。
3. 適切な設備利用を心がける
賃貸住宅では設置されている設備を適切に利用するよう、心がける必要があります。
近隣の騒音や部屋の寒さが気になるからといって、自己判断で工事をしたり、設備を設置したりしてはいけません。
生活していて不便に感じることがあった場合は、管理会社に相談しましょう。
騒音対策や防音については、次のコラムでも解説していますので、あわせて参考にしてくださいね。
なお、北ガスの賃貸住宅「EFUTE(エフュート)」は、分譲レベルの断熱性や遮音性を装備!
建物そのものの断熱性の高さ、さらに高性能断熱の窓ガラスの採用で、寒さのストレスや結露によるトラブルが少ない住まいです。
断熱DIYの必要が無く、結露によるダメージに関しても心配不要で原状回復のトラブルを避けられます。
原状回復に不安を感じる場合、次の住まいは、できる限りご自身でのメンテナンスやDIYが不要な住まいを選んでみてください。
原状回復は恐れなくても大丈夫!日々の掃除と適切な管理を忘れずに
原状回復は、必ずしもすべてを入居時の状態に戻す必要はありません。
2020年の民法改正により、通常の生活による経年劣化は入居者の負担とはならないことが明確化されました。
入居者が負担すべきは、故意・過失や管理不足による損傷の修繕費用です。
トラブル防止のためには、入居時の確認、日々の掃除・管理の徹底、適切な設備利用が重要です。
また写真による記録は、将来の負担を大きく軽減する可能性があるので、入居時に忘れずに行いましょう。
北ガスの賃貸「EFUTE(エフュート)」はワンランク上の賃貸マンションブランドです。
EFUTE(エフュート)なら高い断熱性・遮音性を備え、DIYを検討するほどの寒さや騒音のストレスを感じづらい住まい。
結露も発生しづらいため、結露や断熱・騒音対策DIYが原因となる原状回復のトラブルの心配は軽減できます。
札幌で賃貸物件をお探しなら、ぜひ「EFUTE(エフュート)」をご検討ください。
著者情報
北ガスライフロント株式会社
総務企画部課長
松森 拓東(まつもり たくと)
こんにちは!北ガスライフロントの松森です。
旭川市に生まれ、東京で10年ほど生活したあと札幌に戻ってきました。
ピアノを弾くのが趣味です。
お客さまに喜んで頂ける記事をお届けできるようがんばります!